「新型コロナウイルス感染症」 に関する科学的事実
―― 「緊急事態宣言」に科学的根拠はあるのか? ――

 

はじめに

l  「新型コロナウイルス感染症」の感染拡大防止を目的として、日本政府は、昨年4月に「緊急事態宣言(2020.4.72020.5.31)」を発令し、営業自粛や外出自粛等という形でロックダウン的な政策を実施しました。今年に入ってからも、2回目の「緊急事態宣言(2021.1.82021.3.7〈予定〉)」を発令し、国内では飲食店の時短営業を中心としたロックダウン的な政策が実施され、国際的には外国人の入国が原則禁止になりました。しかしながら、ロックダウン的な政策に関する科学的根拠が解説されることはなく、今回の「緊急事態宣言」において唱えられた「飲食店=諸悪の根源」説に至っては、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長自身が「直接のエビデンスはない」と明言していた(緊急記者会見:2020.12.21【資料1】)にもかかわらず断行され、数多くの企業の経営に致命的な影響をもたらしています。

Ø  テレビのワイドショーなどのマスコミは、「新型コロナウイルス感染症」に関する科学的事実を踏まえることなく、不安を煽る方向で報じていますが、日本政府は、それらの報道に影響を受けた人々の不安心理を気にしすぎて、科学的根拠を伴わない政策を実施しているように見えます。

l  こうした状況下、厚生労働省が「新型コロナワクチン」を承認し、日本国民全員(日本在留の外国人を含む)に対して、当該ワクチンの接種が推進されていく中、個々人においても、接種に対する態度を決定しなければならない時期が近づいています。厚生労働省は、「接種についてのお知らせ」(厚生労働省HP【資料2】)において、「予防接種を受ける方には、予防接種による感染症予防の効果と副反応のリスクの双方について理解した上で、自らの意志で接種を受けていただいています」と明記しているので、個々の経営者や社員において、「感染症予防の効果」と「副反応のリスク」について、十分に理解したうえで「自らの意思」を決定することが求められています。

Ø  ところが、厚生労働省のQ&A(厚生労働省HP【資料3】)を見ると、「日本への供給を計画している海外のワクチンでは、ワクチン接種後に、ワクチン接種と因果関係がないものも含めて、接種部位の痛みや、頭痛・倦怠感・筋肉痛等の有害な事象がみられたことが論文等に発表されています」「現在、開発中の新型コロナウイルス感染症のワクチンの副反応については国内外の臨床試験等でどのようなものが起こりうるか確認されているところです」程度の情報しか掲載されていません。

l  残念ながら、「新型コロナワクチン」に限らず、「新型コロナウイルス感染症」に関するマスコミの報道は、煽情的に訴えかけるものが多く、科学的な事実を踏まえない内容のものが少なくありません。このため、本稿は、根拠となる学術論文および当局の資料や統計を紹介しながら、「新型コロナウイルス感染症に関する科学的事実」についてお知らせすることを目的としています。また、その中で「緊急事態宣言」を含むロックダウン的な政策の有効性についても、科学的事実を叙述いたしますので、新型コロナウイルス感染症対策や経営戦略などを判断する際の一材料にしていただければ幸いです。

Ø  厚生労働省のQ&A【資料3】において、「副反応のリスク」に触れている箇所は、「一般的に、ワクチン接種では、副反応による健康被害(病気になったり障害が残ったりすること)が、極めて稀ではあるものの避けることができない」と「米国において、ファイザー社の新型コロナワクチン接種後に報告されたアナフィラキシーは、2021年1月18日時点で、50例(9,943,247回中)で、100万回あたり5例となっており、74%が接種後15分以内、90%が接種後30分以内に症状が現れています。また、80%にアレルギーの既往があり、24%にはアナフィラキシーの既往があったと報告されています」という箇所のみであり、国民に対する説明という点では、問題が極めて多いと言わざるを得ません。

【資料1】新型コロナウイルス感染症対策分科会(2020.12.21
・緊急記者会見
https://www.youtube.com/watch?v=KXoEyb1fLQQ&t=850s

【資料2】厚生労働省HP
・接種についてのお知らせ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00218.html

【資料3】厚生労働省HP
・厚生労働省のQ&A
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00222.html